過疎化

厚労省の国立社会保障・人口問題研究所が先月30日に発表した将来推計人口によると、郷里の山梨県の人口は2045年には600,000人を割り込み598,935人になると言う。さらに、県都甲府市の人口は、2045年には、2015年に比べ46,534人減り146,591人になると言う。

そんな中、甲府市は既に指定されている特例市から中核市への移行を進めているが、ご案内のように、中核市とは、人口30万以上の市に、政令指定都市なみの権限を移譲するもので、1994年(平成6)の地方自治法改正で、広域連合の制度とともに創設され、指定を受けるには市議会の議決を経て、都道府県の同意を得なければならない。

また、2010年(平成22)4月の時点で40市が中核市の指定を受けているが、制度創設当初は中核市の要件として、人口のほか面積が100平方キロメートル以上であることや、人口30万から50万の市では昼夜間人口比率(夜間人口100人に対する昼間の人口)が100を超えることと定められていたが、これらの要件は徐々に廃止され、現在は対象市が拡大されている。

さらに、2015年(平成27)4月1日には、特例市制度が廃止され、同制度は中核市制度に統合され、同時に中核市の指定にかかわる人口要件は「20万人以上」に変更されているが、この時点までに特例市に指定されていた39市は「施行時特例市」となり、その事務は中核市制度に移譲され、施行時特例市に対しては、人口20万未満であっても中核市の指定を受けることができるという特例措置が2020年3月31日まで取られている。

このような状況下に、 将来人口が急激に減少することが予想される甲府市は、政令都市並みの権限を持つ中核市に鞍替えしようとしている訳であるが、中核市としての業務を担うには、それなりの財政規模や人材が必要になる訳で、政令都市に準じた行政サービスが提供できるのか心配になる。

まあ、プロ集団が協議を重ねて結論を出すわけだから間違いないと思うが、「乞食が馬を貰った」ようでは心許ないし、世間には「分相応」という言葉がある。現状と将来予測を踏まえて取り組む必要があると思う。

まあ、時折地元紙でこの手の記事を読むと、必ずと言っていいくらい「リンケージ人口」なるキーワードが出てくるが、こんな不自然な指標まで持ち出なければ辻褄が合わないような計画や政策では心許なく、何か体裁だけ整えたような感じがする。

さらに、こんな将来予測を踏まえると、JR西日本のリニア新幹線への投資も採算が疑問視される訳で、何か国の経済政策もオリンピックも含めて、完全に中国のような自転車操業政策に鞍替えしたような感じがする訳で、ゴーストタウンになろうが、赤字路線になろうが、次から次へと建設投資を繰り返し景気を浮揚していく場当たり的な経済政策でいいのか疑問になる。将来、未稼働資産ばかりが増えて、いずれはガラクタに埋もれて破綻するような気がしてらない。

まあ、私的には、生活し易い都市の規模は、古代ギリシャの都市国家アテネやスパルタのような見渡せる範囲の都市形態が良いように思うが、そんな視点に立てば、一方的に経済効率を押しつけ、住む地域によっては格差が生じ、市民サービスの低下が見込まれる「道州制や広域行政」の導入も考えもので、市民の生活目線を無視したものに思えてくる。

まあ、そんなことから、甲府などは分相応にして、寧ろ世界時計から外れて、地方の「小じんまりした小綺麗な田園都市」として、独自の路線を行くのがいいように思う。

確かに、今はグローバル化に伴い、効率や利益を追求しなければ生き残れない時代であるが、しかし、それによって社会格差が拡大し、多くの問題が生じている訳で、田舎は過疎化が進みコミュニティが崩壊する一方、大都会は人口が集中する中、面白おかしく便利で快適ではあっても、安全や安心が脅かされ過酷な生活環境の中で、ストレスを抱えて生活しているのが実態である。

とは言え、お互いに「ないものねだり」をしても仕方ない訳で、あるものも搔き集め創意工夫を凝らして頑張るより仕方がないと思う。

折しも、甲府は来年平成31年には、開府500年を迎えるが、これを契機に、官民が一体となって、大都会では味わえない「人に優しい都市」の創造に、百年の大計を持って臨んでもらいたいと思う。

まあ、何事も使えば資源、使わなければゴミである。利用可能な社会資源をかき集め、フル活用していくことが、今後の地方都市の存亡を決定づけるものになることは確かである。

いずれにしても、リニア新幹線の開通は、首都圏と甲府などの国中を結ぶ大動脈として、昔の大弛峠や笹子峠のトンネル開通にも匹敵する経済効果が見込まれるはずで、正に千載一遇のチャンスである。

まあ、AIを使った自動運転技術の開発が現実味を帯びる中、リニア新駅と甲府の市街地を自動運転のモノレールで結ぶくらいの計画は立てていると思うが、地元に社会資本がなければ、大都市圏から資本を呼び込むような大胆な政策も打たない限り、千載一遇のチャンスをものにすることは難しいように思う。

まあ、時すでに遅しの感はあるが、狭い了見であか抜けない議論を繰り返していては埒があかない。田舎目線でなく、首都圏や名古屋圏の目線からも、新たな需要を掘り起こすくらいの意気込みがほしい。

将来9年後に甲府から20分でつながる品川は、山手線や東急や地下鉄などで、渋谷や恵比寿や赤坂や六本木、日比谷や銀座、日本橋や浅草、さらに横浜や京急で羽田に直結している訳で、海外からのアクセスもかなり改善される。

そんなロケーションを踏まえると、将来の甲府は、都心からあっという間に到達する「山の中に田園都市」になる訳で、そんなロケーションを活かしたサービスを提供していけばかなり過疎化は低減されるものと思う。

山梨県の観光標語「週末は山梨にいます」が正に実現する訳で、そんな100年の大計を胸に、後世に夢と希望を伝えていきたいと思う次第である。

jpjapon について

3匹の犬と優しいけど時々意地悪な元気なおばさんと桃やブドウに囲まれた田舎で暮らしています。音楽と写真が大好きなパソコンフリークです。日々の想いを、聖書の御言葉や御仏の教えを交えて仲間と語り合うのが大好きです。平凡な日常から垣間見る世間の出来事を、自分流に書き綴っていきたいと思います。
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