見直し

ご案内のように、グローバル資本主義は株主資本主義とも言われ、株主や投資家にどれだけ多くリターンするかで、経営手腕や能力が計られるので、従業員の首をいくら切っても株価が上がり配当が増えさえすれば、良い経営者と評価される。そんなことから、日産のカルロス・ゴーンさんのようなカリスマCEOは、一にもニにも利益と効率を追求し、コストカットに邁進する訳で、従業員や顧客や社会などは、金儲けの道具であり手段に過ぎなかったのではないかと思われる。

一方、以前の日本の会社経営に見られた会社資本主義は、松下幸之助や出光佐三氏の言葉を借りるまでもなく、家族や従業員や地域社会を仕事を通して支える会社経営を行い、市民生活や市民経済を豊かにしていくことが、会社経営の目標に据えていたから、会社の信用や従業員を犠牲にしてまで、金儲けをするようなモラルなき経営をする会社は、少なくとも大企業にはなかったように思う。

要するに、人や信用を第一に据えるのか、金儲けを第一に据えるのかの違いだが、前妻との離婚訴訟経費を会社に支弁させたり、業務実態のない姉に年間10万ドルの顧問料を2002年から16年に亘り会社に支弁させていたらしく、 2万人以上の社員のリストラに対して、自分や身内に分厚い行為は、前東京都知事の舛添要一氏などとは比較にならないくらい大胆で悪質である。

そんな世相を背景に、最近は大企業においても、検査数値の改ざんや不正検査、部品や製品の規格や精度不良、建物や構築物における施工不良や不正や食品の安全性を犠牲にした原料の調達や衛生管理などの不正行為が目立つようになり、病院や介護や保育現場でも、人手不足から十分なケアができずに人為ミスが多発しており、信用や信頼を二の次にしてしまう企業が増えてきたような気がする。

まあ、便利で快適になる一方、社会の安全や安心が脅かされ、信用や信頼が揺らいできた訳で、グローバル化とは一体何なのだったのだろうか、疑問に思う。

まあ確かに、閉塞的な狭い世界にあるより、広く世界に門戸を開き、お互いに交流を重ねれば、様々な選択肢の中から自分の好みのものが選べるし、また様々な差別や偏見の垣根を乗り越え、変化と多様性の中に、さらなる自由と自律を手にすることができる社会が訪れるものと思われるが、しかし、それには帰属する社会の風俗や習慣、伝統や文化から、政治体制や経済システム、宗教や歴史観や教育などの垣根を乗り越える強い意欲と意志が必要になる訳で、今日の日韓情勢を垣間見る限り、まあお互い不可能に近く、あまり無理をすると、却って秩序が損なわれ社会の混乱を招くようなことになるような気がする。

まあ、人種差別(アパルトヘイト)や性的な差別や偏見の廃絶を訴えるLGBTなどの活動も、現実的には万人に全方位に受入れられるものでもなく、やはり何事も一定の枠組みや制度設計や運用が不可欠になるものと思われる。

また、今の婚姻制度についても、新たな生命の誕生を担うカップルを前提とするからこそ、それなりの制度設計がある訳で、それを、単なる同性カップルや不倫カップルを差別したり排斥したりするものと解するのも如何なものかとも思う。

また、万物の創造主である神の意志を、若いカップルが引き継ぎ「新たな生命の誕生と育児」に船出していくことから、万人が祝福する訳で、単に愛するもの同士が結ばれ同居することが、同様の祝福に値するかどうか疑問である。

また、子育て世帯が制度的に手厚いのは、それだけ苦難が待ち構えているからで、決して同性婚を差別や偏見の対象にしている訳でもなく、総じて言えば、同性婚に対して世間の関心は特別高い訳もなく、一般の子育て世帯との格差を是正する必要があるかどうか疑問である。

そんな訳で、とにかく、一人の人間が食べて通ることは並大抵なことではない。だからこそ、半人前の男と女が喧嘩しながらも連れ添って生きている訳で、そんな人間の本質に根ざした社会を実現するには、妙な懐古主義やノスタルジアに惑わされずに、未来志向で時代の要請に真摯に向き合う必要がある訳だが、それにしても、社会の牽引役となるエリートが、自ら垂範率先して悪事を働くようでは、構造改革もグローバリズムも時期尚早の感を否めない訳で、今回のカルロス・ゴーン氏の事件を契機に、企業経営のあり方を改めて見直してもいいように思う次第である。

jpjapon について

3匹の犬と優しいけど時々意地悪な元気なおばさんと桃やブドウに囲まれた田舎で暮らしています。音楽と写真が大好きなパソコンフリークです。日々の想いを、聖書の御言葉や御仏の教えを交えて仲間と語り合うのが大好きです。平凡な日常から垣間見る世間の出来事を、自分流に書き綴っていきたいと思います。
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