子供の頃の記憶が蘇る。道路は砂利道、どの家の玄関先にもゴミ箱があった。雨が降ると砂利道に水たまりができて、場所によってはアメンボーが泳いでいた。
半世紀以上も前の街の風景だが、鮮明に覚えている。納豆売りの掛け声や豆腐屋のラッパの音、牛の絵が描かれた大八車で牛乳を売りに来た。確か、文さんとか言う魚屋も魚を売りにきた。
戦後の蛍光灯もない時代のこと、コタツの上にはみかんと落花生が定番だった。そんな時代の痕跡は、今は何一つ残っていない。
古き良き時代、必死に育ててくれた父母の恩寵に、実りある晩節にて報いたいと思う。
今あることに感謝したい。