食べ物はいくら健康に良いからと言って拘ると却って健康を害する。なぜなら、拘れば拘るほど偏食になるからで、さらに世間にこれだけバラエティーに富んだ食材があるのだから、いろいろ食べて楽しまなくては、食の楽しみが半減する。
まあ、いつも健康にありたいと願うのは万人の願いだが、何故か人にはそれぞれにフィジカルな面で弱点があるようで、同じ食べ物を食していても健康な人もあれば病気になってしまう人もいる。
そんな中、アルコールやタバコは多くの人の経験知から健康を増進するものとは言えないと思うが、人によっては「酒は場を和ませ、百薬の長」であり、タバコは極アルカリなので、新陳代謝が激しく酸性過多に傾きがちな青年期の若者にとっては中和剤としての効果が期待できる。しかし、多用すると気道などの粘膜を傷つけるから考えものである。
まあ、酒やタバコに限らず、あまり刺激のあるものは考え難い。仮に近代的な生活を離れ、山谷や海辺に放りだされたとしたら、どんなもので命を繋ぐかを考えてみると、極端な肉食は考え難い。あわよくば鳥の卵や磯部の貝や小魚くらいが関の山で、野山の果物や大地の芋などに落ち着くような気がするのである。
しかし、そんなものばかり食べていたから、昔の人は短命だったとも考えられる訳で、生活環境が劣悪で尚且つ身体を今より酷使していたことも、その要因として考えられる。
いずれせよ、やはり人間は雑食で、昔の厚生省が推奨していた1日30品目が偏食を防ぎ健康を保てるのではないかと思う。
まあ、よく「毒も薬」などと言うが、野菜や穀類のアリシンやフチンサンなどの毒素も熱を加えたり発芽させたりすれば、毒性を緩和できる訳で、人類が火をつかって食材を調理するようになったことも食材の毒素を抜き安全に安心して食することができるようになったものと思われる。
さらに、微生物の力を応用した発酵食品などはその最たるもので、味噌汁は放射線障害を緩和するものと言った報告を聞かれる。
そんな訳で、何事も入れ込み過ぎてはダメ、すべて「引き際」が大切で、愛も求め過ぎても与え過ぎても、依存的になるだけで極めて宜しくない。
何事も成り行き、日に新た、雨の日は雨の日にやれることをやる、酷暑の時は熱射を避けて木陰に憩うのが宜しい訳で、想いはその次、無理を押し通しては必ず禍を転ずることを肝に銘じたい。
そんな訳で、今日も「 五分を持って最善となす」にて、バラエティーに富んだ食材で食を楽しもうと思う次第である。