初詣

年末の天気が嘘のような晴天に恵まれた元日の朝である。一年に一度、朝から大手を振って酒が飲める。夫婦二人きりなので、御節も簡単にとは言っていたが、食卓を見るとそれなりのものが並んでいた。神棚と仏壇に、お雑煮とお酒をお供えして拝礼し、女房の手酌で、何時になく酒を飲んだ。美味しかった。

ワンちゃん達もいつものご飯に、お御節を食べてご機嫌である。昨夜は年越しそばも食べたのである。お預け前に絶対食べないクーちゃんが年越しそばは腹が減っていたのか「よし」の前に食べてしまった。そばは僕が大好物なので、クーちゃんも大好きなのである。変なところが良く似ている。

初詣には、いつもお留守番のJanian兄ちゃんを抱っこして連れていった。丸太のように太っているので、ママも僕も表に連れ出すことがあまりないからである。重たかったが、大型カイロを抱きかかえているようで暖かい。帰りに、久しくご無沙汰している知人の家に立ち寄った。ラッキーとセブンと言う大型の白いラブラドールがいたのだが、息子さんが5年ほど前に亡くなり、時を同じくしてラッキーも死んでしまったので、今は86歳のお母さんと雄犬のセブンがいるだけである。

玄関先から覗き込むと、セブンが巨体を捩じらせて、ドアの向こうでしきりと尻尾を振っている。声を掛けて中に入ったら大変である。我が家では巨体のJanian兄ちゃんも小さく見える。そばに寄って、しきりと匂いを嗅いで舐めるのである。Janian君は怖いのか吠えもしないで小さくなっている。家では一番吠える犬なのにやけに大人しい。セブンはオス犬なのにJani君の匂いがやけに気に入ったようである。

セブンはラブらドールの中でも大きいように思う。寄りかかってくると支えきれない。お手をするのだが、正にこん棒である。でかくて可愛い。座ると下手をすると、妻の胸元近くに届くような気がした。

訪れる人もいなかったせいか、嬉しくて仕方ない。興奮して、飛びついてくるのである。僕よりママの匂いが気に入ったらしく、ママにやたら飛びつく。我が家のワンちゃんのお墓があるお寺にも、オスのラブラドールがいるが、ママの匂いが気にいていて、飛びついてきて困る。きっと、ママの前世はメス犬だったのかもしれない。そう言えば、口うるさいし妙に忠犬ハチ公のようなところがある。

久々に酒に酔った。和やかな静かな落ち着いた元旦である。忘れかけていた時の流れを感じた。娘や孫達は毎年婿さんの実家で過ごしている。娘や孫たちから年賀メールや写真が送られてきた。親戚の親子は香港から写真を送ってきた。共に自宅を離れて楽しそうである。

でも、僕ら二人にとっては、この陽だまりのお正月の方が贅沢に思えた。いつしか、そんな年になってしまった自分たちに老いを感じて苦笑した。

jpjapon について

3匹の犬と優しいけど時々意地悪な元気なおばさんと桃やブドウに囲まれた田舎で暮らしています。音楽と写真が大好きなパソコンフリークです。日々の想いを、聖書の御言葉や御仏の教えを交えて仲間と語り合うのが大好きです。平凡な日常から垣間見る世間の出来事を、自分流に書き綴っていきたいと思います。
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