モチベート

00281019-115558.jpgやる気を喚起するには、レスリングのアニマル浜口の「気合だ気合だ」や参議院議員の猪木先生の「闘魂だ」などが有名だが、大声を張り上げたり、身体を叩いたり、手足を振り回して、気力やテンションを高めても、野球やサッカーの応援のようなもので、その場限りで長続きしないことは、ご案内の通りで、一時的な興奮や精神的な高揚に過ぎないものと思われる。

その一方、教育や学習によって植えつけられたモチベーションは、一過性でなく長期にわたって持続するもので、そんな動機付けも「お金や地位や名声」と言った外部の要因によるものと「心の内部から沸き上がる想い」によるものとに区分することができる。

まあ、一般的に仕事は組織目標の達成が最重要課題となるので、さしずめ、お金やポストや名声といった外的な要因がモチベーションとなると思うが、その一方で、そんな外的なモチベーションではなく、心の中から沸き上がる欲求によって自己実現を図っている人もいる訳で、できれば、そんな内なるモチベーションにより、上司も同僚も部下も一緒になって仕事ができる環境にあるといいと思う。

しかし、現実は、自分の思いを押し殺し、会社や組織のモチベーションに同調して仕事をしている人がほとんどで、東大卒のエリート社員が過労で自殺に追い込まれた電通のような職場環境の企業がほとんどではないだろうか。

まあ、一般的に、社会はいろんな人の寄り集まりだから、誰にとっても心地良いはずはなく、ストレスが溜まるものであるが、それも程度問題で、身体的な不調やいじめやハラスメントに発展し、「個人の健康や尊厳や存在」を脅かすものであってはならない。

そこで、そんな視点から、今日の雇用環境を眺めてみると、グローバリズムの進展に伴い、市場取引によって物事の価値が決まる「市場原理」が、次第に日本の職場習慣や人間関係に波及して、巧妙なパラドクスによる「生きがいの搾取」とも思える動機付けが平然として行われているような気がしてならない。今回立ち入り調査されている広告代理店の巨人「電通」などは、その最たるものかもしれない。

まあ、犠牲になった社員は、多分素直で真面目で大人しく、相手の矛盾をつくような世間ずれした人間ではなかったものと思われるが、この企業の社訓「鬼十則」を拝見すると、企業戦士そのものである。

まあ、一般的に、社会は善悪混濁、白黒自在、今日の身方は明日の敵、ハシゴを外さないまでも外されたりするのは当たり前の話だが、そんな世間の荒波を越えていく極意を授けるのが上司であり、助け合うのが仲間や部下でなくてはならないはずである。

しかし、能力が最優先され、効率や利潤や短期的な成果を重視する世相にあっては、そんな人間関係が育つわけがなく、そんな考えに拘っていると、周りとの歩調を欠き、リストラ要員にされてしまうような気がする。

ところで、話は全く変わるが、今年のノーベル生理学医学賞は、東京工業大学栄誉教授の大隅良典が受賞されたが、大隅先生によると、最近は5〜6年と言う短いスパンで成果が見込めない研究には、公的資金が拠出されないそうで、長期に亘り研究しないと成果が見込めない基礎的な研究を進めていくことが困難な状況にあるらしい。そんなことから、将来は、応用範囲の広い基礎研究で、日本がノーベル償を取れなくなると語っていたが、真に寂しい話である。

つまり、今日の社会は長期的な視点に立たず、短期的な短絡的な成果を求め過ぎる傾向があり、その場限りの社会になってきたような気がする。まあ、グローバリズムの進展に伴い「周囲の変化や多様性」に常に最適化していく姿勢が必要になることは確かだが、自分達のアイデンティティーを失ってまでも同調する必要はない訳で、日本人として譲れない価値観や世界観は譲ってはならないものと思う。

そんな訳で、確かにグローバリズムは、国や民族や人種を超え、国際人として世界共通の価値観や世界観を樹立するものかもしれないが、しかし、地域には地域の伝統や文化やしきたりがあり、国や人種や民族には、それぞれに価値観や世界観が存在するわけで、それらを一律に同一化することなどは、所詮無理な話のように思う。

まあ、グローバリズムは、人の弱みにつけ込み世界中に広まっていく共産主義やオカルト宗教にも似ており、私的には戦中の「神風思想」にも似た「ある種の片寄ったイデオロギ-」のように思える。つまり、私達の精神的なバックボーンである「義理人情や心情や日本心や魂」と言うものには根本的に合わないような気がする。

そんなことから、これほど繁栄を極めながらも生きにくい社会もない訳で、ここらで、社会全体で、それぞれの立場で日本人としての生き方を、もう一度落ち着いて考えてみる必要があるように思う。

その意味から、電通などは下らない「鬼十則」などには拘らずに、もっと心を開き、業界シェアなど失っても、日本のあるべき姿を提唱していくくらいの気概がほしいと思う。マスコミとかメディアの仕命は、テレビやネットも含め、本来そんな生死をかけた生き様を自らが実践してこそ存在価値があるのではないだろうか。

jpjapon について

3匹の犬と優しいけど時々意地悪な元気なおばさんと桃やブドウに囲まれた田舎で暮らしています。音楽と写真が大好きなパソコンフリークです。日々の想いを、聖書の御言葉や御仏の教えを交えて仲間と語り合うのが大好きです。平凡な日常から垣間見る世間の出来事を、自分流に書き綴っていきたいと思います。
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