大井川

00261208-230304.jpgひょんとしたことで、お隣の家族旅行にご一緒することになり、静岡県島田市の大井川鉄道の蒸気機関車に乗る機会を得た。朝7時に我が家の前を出発、大型マイクロバスを貸切っての大名旅行である。甲府精進湖線を通って富士河口湖町に抜け、途中「まかいの牧場」がある朝霧高原を抜け、新清水から新東名高速に入って、島田金谷ICで高速を降り、島田市博物館や「川越遺跡」や宿場の街並みなどをしばし散策して、日本で一番長い木造歩道橋「蓬莱橋」に午前10時ごろに到着した。長い木の橋は=長生きの橋とも言われ、全長897.4(やくなし=厄無し」)の語呂合わせで縁起のいい橋として人気がある。

そんなこととはつゆ知らず、橋は渡らずにスルーして、蒸気機関車が待つ「新金谷駅」に早めに向かい、トイレ休憩やお土産を買ったり、機関車をバックに写真を撮ったりしながら機関車の出発を待った。

ところで、私の母は東京生まれで戦争で甲府に疎開して移り住んだ人だったので、子供の頃は中央線で6時間もかけて、途中スイッチバックしながら蒸気機関車に乗って新宿に行った想い出が私にはある。昔の家も甲府駅のすぐ近くだったので、毎日石炭の匂いがして列車の連結器の音が聞こえた。そんな懐かしい匂いや音に、裸電球の家で、ラジオから音楽が流れ、相撲や浪曲に耳を傾けた貧しくも憩いのある生活が鮮明に脳裏に蘇り懐かしかった。

しかし、人間の記憶とはいい加減なもので、思ったほど機関車の石炭の煙の匂いは強くなく蒸気の音も静かで、子供の頃の想い出とは大きくかけ離れていた。改めてこんな匂いや音だったのかと記憶を新たにした次第である。

それでも、昭和15年に製造され、高倉健やその他のドラマのワンシーンで使われた「三等車」と書かれた客車に乗り込むと、天井の白熱灯や油が塗られた木製の床や足元の蒸気暖房が何とも言えない雰囲気を醸し出して、既に他界した母への想いが思い出されて何とも言えない熱いものが胸に広がった。それに、今回は次世代を担うお隣の若きカップルとそんな想い出がいっぱい詰まった機関車に乗っている訳で、いろんな想いが交錯して、時空を超えた想いに我を忘れた。

ところで、この二人に二人揃ってお会いするのは、今年の2月の大雪の時以来で、我が家の前の道路の雪かきでお世話になったことが思い出される。気立ての優しい彼女と口数の少ない何処か歌舞伎の「中村獅童」に似た真面目な好青年である。この蒸気機関車のように十直に力強く自分の人生を切り拓き、幸せな家庭を築いてほしいと思う。

そんな訳で、今回はちょっとそこいらでは経験できない貴重な旅をした。何せ、次世代を担うお隣のカップルとの家族旅行にお招きを受けたのである。私としてはこのことが何よりも嬉しい。天気に恵まれ、車中では冗談が飛び交い、蒸気機関車の匂いや音に古の想いが蘇りその郷愁に浸り、帰りは帰りで「焼津のさかなセンター」で買い物をしたり寿司をつまむ楽しい旅であった。お隣の皆さんには、心から感謝しお礼を申し上げる次第である。

なお、当日の写真とShortmovieなどは、別ページからご覧になれます。

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jpjapon について

3匹の犬と優しいけど時々意地悪な元気なおばさんと桃やブドウに囲まれた田舎で暮らしています。音楽と写真が大好きなパソコンフリークです。日々の想いを、聖書の御言葉や御仏の教えを交えて仲間と語り合うのが大好きです。平凡な日常から垣間見る世間の出来事を、自分流に書き綴っていきたいと思います。
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