私達は悲しいかな、物事をカテゴリーに分けないと理解できない。今目の前に広がる世界は、写真のような画像ではなく、熱さや寒さや湿気や匂いもあって、光や風や雲、空には鳥も飛んでいる。
当たり前の話しだが、世界は一つに繋がっている。光も空気も水も勾いも、あなたも私も遠い宇宙から見れば一つの点に満たない。そんな広大な世界も何から何までみんな繋がっていて分け隔てすることなどできないのである。
そんな世界を、あなたはどのように感じて、その想いを日々の生活の中で表現しているのだろう。より詳しく具体的に… それとも極めて抽象的に… 純粋にそれともシニカルに…だろうか。
そう、表現といえば、言葉、詩歌、音楽、歌、ジェスチャー、ダンス、写真、動画等がすぐに頭に浮かぶが、よく考えてみれば、料理やお茶、会話や酒やタバコからギャンブルや女、スポーツから娯楽、喧嘩から犯罪、略奪から戦争まで、いろんな表現が出来ると思うが、その表現したいものは、表現されたものは、一体何を意味するのだろうか。
求めるものも分らずに彷徨い歩き、挙げ句の果てに表現したものは、眼下に広がる風景や仰ぎ見る空や道端に咲く一輪の花にも値しない。伝えたいものも分からずに、何も伝えられないのである。
仮に女が愛を感じるのに一人の男に満される訳がない。男が愛を語るのに一人の女に満ちてしまう訳がない。なぜなら、世界は一つに繋がっているからで、愛は一人で独占できるものではないのである。その全てに愛を注げば、広く小さく広がって飛び散り、とても一幅の絵の中に修まりきれるものではないのである。愛とは極めてアナログ的で不条理で不可思議で、デジタルな会話にはそぐわない理解し得ないものなのである。
想いは一つに収束され、あなたも私も存在しない。愛とはそんなもののように想える。そんな愛をいつもいつまでも感じていたいと想う次第である。
