難局

紀元前数世紀にインドで編纂された聖典ウパニシャッドに、次のような皮肉たっぷりな一文がある。

「万物の創造主は人間のあなを外向きに開けた。それで、人間は外の方を見るだけで、内の方を見ようとしない。唯だ賢明な人たちだけが眼を内へ向けて真我を見る。」

確かに、私達は外のことばかり気にして暮らしており、近代文明の進歩発展と共に、ますますそんな俗物的な「酔生夢死」な生き方が当たり前になり、今日的には寧ろ誇りになりつつある。しかし、次から次と押し寄せる世俗の出来事やモノに目を奪われ、自分を見失い、挙句の果てに神仏に救いと真理を求めるに至っては、さぞかし神仏も呆れ果てているに違いない。

その上さらに、そんな世相を逆手に蔓延るカルト宗教や組織が織り成す社会構造には、罪深き人間の性を禁じ得ない。

世間はそれこそ、以前品川のジョイプリンスで孫と一緒に観たセーラームーンの「嘘バッカー」のようなもので、嘘と虚栄と虚構で成り立っており、そんな世間に真実や真理を求めても見つかる訳がない。

それに、自分の胸によく手を押し当ててみれば、真実は自分の内にあることは明白であり、良きも悪きも何もかも自分の内から生じて転じ内に戻ってくることがよく分かる。

ところで、話は変わるが、世界はいま軒並み金融緩和策を実施しており、日本でも30兆円の経済対策を実施するようだが、合わせて年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)では、資産構成を見直し、外国債券の比率を10ポイント引き上げ25%とし、外債を買い増し円安基調を維持したいらしいが、全くの愚策と言わざるを得ない。

なぜなら、年金資金で外債など買い増ししても年金資金が毀損するだけで、冷え込んだ内需を回復する手立てにもならないからである。そんなことより、今は長引く自粛要請から市民生活が制限され経済活動が立ち行かなくなっているのだから、当面の資金繰りや生活苦をサポートする支援体制を早急に整えるべきで、機会を逸するとこの国の経済システムが崩壊してしまう。

とにかく、当面は国内だけでもお金が循環するように、内需拡大の金融経済システムを構築すべきで、さしずめ、消費税は撤廃、社会保険料、光熱水費や固定資産税は免除くらいの政策を打たねば、雇止めや雇用の喪失から失われた所得に代わる内需を維持できない訳で、決して怠け者にお金を配るような話しではないと思うが、庶民生活に寄り添う気持ちが希薄な日本のエリートらには理解不能な愚策としか思えないと思う。

まあ、どうせこれから不景気のどん底に突き落とされるなら、この機を境に外需を内需に切り替え、内需の復活と拡大を目指して、地域産業の育成と再生に全力を傾けるべきで、そんな地域政策が多少なりとも打てぬ自治体なら、将来的にはAIで足りる訳で、むしろない方がすっきりする。

そんな訳で、オリンピックも一年延長することが決まったようで、政府お得意の様子見と責任回避の機が熟し、やっと「大本営発表」となった訳だが、精神論や神風頼りに突っ走るこの種の「裏技・愚行・蛮行」の果てのあっけない結末には笑ってしまう。いつものことながら、この種の茶番劇には、日本人特有の優柔不断、責任回避と言った「組織的社会的な病理」が垣間見えるが、現実の問題として延期によって発生する巨額な経費は誰が支弁するのだろう。気になるところである。

それにしても「場の空気や無責任さ」極まりない合議制や稟議制、頼りない統治機構やリーダーシップを見るにつけ、さすがに24歳年上の恩師を妻とするフランスのマクロン大統領の毅然とした非常事態宣言には強い責任感と意志が感じられる。

そんな訳で、この世はコロナ旋風が吹きまくり嘘と虚構に満ちている。元よりお国や世間にはご縁がなく居場所もないゆえ、内なる想いと罪なきデカダンスに彷徨い、この難局を乗り切っていこうと思う。

 

jpjapon について

3匹の犬と優しいけど時々意地悪な元気なおばさんと桃やブドウに囲まれた田舎で暮らしています。音楽と写真が大好きなパソコンフリークです。日々の想いを、聖書の御言葉や御仏の教えを交えて仲間と語り合うのが大好きです。平凡な日常から垣間見る世間の出来事を、自分流に書き綴っていきたいと思います。
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