春を運んでくるように、春先に東から吹いてくる風を東風(こち)と言うが、「東風吹かば、におひおこせよ、梅の花、主人なしとて、春な忘れそ」とは、平安前期の学者、菅原道真の歌であるが、実に風情がある。
日本の四季を言い表す二十四節気は「立春」から始まる。季節の移り変わりに敏感な日本人にとって、立春は春の訪れを予感し、新たな生命の息吹に一抹の寂しさを覚える時節でもある。
そんな中、今日もひたすら土起こし、大地の優しさを感じた。軒下のイチヂクとミカンの苗木が今か今かと本格的な春の訪れを待ち詫びている。「もう少しだよ」と声を掛けながら水遣りしたが、私の言葉に凛とした姿で応えてくれた。
そんな訳で、喜びと感謝の中に、今年もコロナに負けることなく元気に立春を迎えられた。2月の15日は愛犬janian君の一周忌である。姿かたちは消え去っても、思い出は永遠に消え去ることはない。多くの出会いと交わりの中に、忠犬忠義の重みを感じる。私もこうありたいと思う。
想いは果てしなく尽きることがない。春の日差しに元気をもらい、明日もまた頑張ろうと思う。