想い

Apple Japanの元代表取締役の山元賢治氏が、若者を対象に講演活動を行っていることを先日のNHKのテレビ番組で拝見した。アップルと言えば、毎年前年を大きく上回る事業実績を上げている世界でも名立たる優良企業である。その代表取締役を辞してまでも、今の若者に訴えたいという憂国の志には敬意を表したい。

しかし、山元氏の話は飽くまでも人生の処世訓であり方向性や指針であって、恩師の話をそのまま鵜呑みにして、闇雲に起業や独立を試みても、そう簡単に食えるほど人生は甘くない。山元氏自身も大学を卒業後はIBMに勤務し、その後も外資系の会社を転々としていて、現在も確かコニカの取締役である。つまり、仕事を通して学べることの大切さを実証しているようなもので、組織の資源を有効に使って、自己実現していったお手本のような人である。つまり、恩師の話は、組織に埋没するなかれ程度の話として受け止めた方が無難である。

どちらかといえば、妥協できる会社に勤め、そこでの仕事を通して、人との関係性を学び、仕事のやり方を学ぶほうが先である。なぜなら、どのような仕事でも、独りでは何もできないからである。人は独りでは生きられないのである。人は独りでは、何時まで経っても半人前であって、人生の生きる意味を知りえないのである。なぜなら、その想いの尊さを共に伝え合い、支え合って、励ましあって生きるには、共に歩む伴侶や気の合う仲間が必要であって、その関係性が織り成す想いなくしては、人生は語れないからである。

人は為し得たことも大切であるが、それよりも何を語ったかが大切である。なぜなら、人は語ることによって他者の中に生きられるからである。生きるとは正に他者の中に生きることであって、他者からの証を求めることに他ならないからである。だから、空気のような中に身をおいてはいけない。私たちは自分の想いの中に埋没し空想の世界に想いを馳せてばかりしていてはいけない。自分の世界に浸っていては、生きる意味を失ってしまうからである。

だから、想いを語ることである。その想いを表現していくことである。想いを語り表現していくことが、自分らしく生きることにつながるのである。言葉や行動で、ファッションや芸術で、その想いを伝え合うことが、生きるということではないかと私は思う。それさえ上手にできれば、何処に転がっても皆と共に楽しく食って通れるのである。

jpjapon について

3匹の犬と優しいけど時々意地悪な元気なおばさんと桃やブドウに囲まれた田舎で暮らしています。音楽と写真が大好きなパソコンフリークです。日々の想いを、聖書の御言葉や御仏の教えを交えて仲間と語り合うのが大好きです。平凡な日常から垣間見る世間の出来事を、自分流に書き綴っていきたいと思います。
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