ここに、私達の本質は愛であり、私達は愛を灯火にして生きる霊的な存在であると書くと、何処か怪しいオカルト宗教のサイトのように思われるかもしれない。しかし、私達はこの地上における多くの出会いと交わりの中に、自分の存在を永久に見出すことができないことも事実であって、常に付き纏う漠然とした不安感や虚無感は、天空の故郷を想う私達の霊的な存在によるものとしても想像に難くない。
また一方、釈迦釈尊はそのような霊的な存在については無記（有無を言わない）して、今ある苦しみから解き放つ法を説いているが、その真髄が記された有名な仏典「般若心経」には、全てのものには実体がなく想いがものを形作ると書かれていて、それは恰も私達の存在が霊的な存在であることを暗示しているかのようである。
まあ、何れにしても、私達は自分の髪の毛一本でさえも、黒くも白くもできない訳だから、自分の身体の頭の天辺から足のつま先まで、自分のものは何一つなく、すべて借り物と言えないこともない。今ある命さえ、次の瞬間に失われるかも知れない現実に対して、己の存在を証しすることもできないのである。
しかし、そんな実体のない実存しない存在であっても、私達は多くの出会いや交わりの中に、己の愛の灯火を灯すことができるし、地上の多くのものに御仏の慈悲を見出すこともできる。
日々の想いは果てしなく、まるで風を追うようなものであっても、そんな想いを誰かと共にしなくては生きられないことも、悲しい現実なのである。
そんな想いに駆られ、今日も身近な出会いに灯火を共にし、励ましあって生きていこうと思う次第である。
