東京オリンピックが全国に及ぼす経済効果は、都の試算によると32兆3000億円で、その6割にあたる20兆4000億円の経済効果が都内にもたらされると言う。
オリンピック施設の建設や交通インフラの整備や観光などによる消費の拡大や雇用の創設が期待される一方、人口過密都市である東京の治安の悪化やさらなる過密化が懸念される中、当初予算1兆3500億円と試算された大会運営経費が、今では3兆とか4兆5000億にまでに拡大し、コスト削減に歯止めの掛からぬ大会運営に、両手を上げて喜べない状況にあることは、ご案内の通りである。
また、大会期間は7月の24日から8月の9日までの17日間で、8月25日から9月の6日まで開かれるパラリンピックの大会期間13日を加えても約1ヶ月の大会に、事業収益が7500億円あるとは言え、3兆円規模のお金が使われることになる訳だが、何だかこれでいいのか疑問が残る。
また、最近はバドミントンや水泳や卓球など幾つかの種目で目覚ましい活躍がある一方、レスリングやボクシングやカヌーやアメフト(五輪とは直接関係ないが)などの種目では、 スポーツマン精神そっちのけの不祥事や悪しき慣習がまかり通っているようで驚いた。
さらに、大会期間も放映イベントの少ない時期を狙ってコストパフォーマンスのよい時期にIOCが決定したらしく、とてもアスリートファーストとは言えない状況にある。それを受け、大会組織委員会ではサマータイムの適応を政府に要請しているが、私的には責任逃れのジェスチャーに過ぎないような感じがする。
ところで、いま社会は大きな変革の時期を迎えているが、そんな重要な時期にあっても、私達は長期的な展望もなく、短絡的かつマニュアル的な思考しかできない訳で、誰もが本音を語らず責任を全うしない状況にあることは嘆かわしい事態である。
まあ、早い話が、日本人の気質が悪くなっている訳で、社会的な正義感がないがしろにされているところに問題があるように思う。
そんな想いに、つくづく今日的な組織に働く正義感燃える若人には、組織の悪しき習わしに負けないで、短気を起こさず仲間を募って根気よく組織体質の改善に努めてもらいたと思うが、そんなことも含め、このオリンピックがゼネコンやマスコミやマスメディアの利権の温床にならぬことを願いたいと思う次第である。