ドーピング疑惑で翻弄される15歳のスケーター、ワリエワの失意の顔が記憶に新しい、実に後味の悪いオリンピックだったが、中止だ、不参加だとマクシ立てた割には、平穏無事に終わり、オリンピック後の中国経済もディフォルト騒ぎのうちに、なんとなく収束しそうな雰囲気である。いろんなニュースもあてになるものはなく、目を通すだけでも馬鹿馬鹿しく時間の徒労に思える。
しかし、そんな中にもやはりスポーツは筋書き通りにいかず、努力だけでなく、その時の運不運もあり、フィクションでなくファクトだから、見応えがある。
それにしても、オリンピックの試技は、努力や才能ばかりでなく、コーチや仲間との出会い、それにその時々のコンディションや競技環境なども大きく影響するわけで、何年も積み重ねてきた練習の成果が、たった数分間に凝縮され終わってしまう訳で、これほど過酷な判定はない。
しかし、そんなリスクや困難にもめげず、表舞台に立てるアスリートは、世界にほんの一握り、その中で頂点を極めるとしたら、まさに神業である。
しかも、競技を外れれば、ただの人、目的を失えば、新たな目標を見つけなくてはならない。人生とは、実に不可解、不合理、意味不明なものである。
時が経てば視点が変わり、物事の価値基準や判断基準も変わる。戦前の滅私奉公、天皇陛下万歳から、今は完全に個の社会に移行し「今だけ、金だけ、自分だけ」が、幻想や妄想から成り立つ世間に、太刀打ちできる唯一の手段だとしても、多くの歴史観が嘘偽り、宗教思想も庶民支配の一手段であるとしたら、あながち批判してもしかたないように思う。
まあ、多くの権威や信頼が失墜する中、自分の感覚や感性を信じるしかないが、その感覚や感性も、時と場合によって揺れ動いているわけで、実に危なっかしい。
その一方、嘘や偽り妄想や幻想を信じることで成り立つ私たちの社会は、コロナを契機に、その馬脚が露呈し、マスクの着用やワクチンの接種も自己責任、巷の健康情報や免疫強化策も、実生活からすると現実味を欠き、阿呆らしく思える。
しかし、結局、何事も人のせいにする訳もいかず、自分の感覚や感性や感情を信じるしかない。
そんな想いに、安全、安心、便利、快適を追い求め、変化と多様性の中に自分の居場所を見つけることの難しさを改めて痛感する。
それでも、世界70億人の人々がそれぞれの想いに今現在生きていると思うと感慨深いものがある。特に競技を終えたアスリートたちの想いは、こだわりが故に、複雑なものがあるものと思う。
まあ、人生は「彼方立てれば此方が立たぬ、二兎を追うものは一兎をも得ず、カエサルとイエスの二人の主人に同時に仕えることは出来ない。」訳で、、多くの諦めと犠牲の上に、今があることは確かである。
改めて、今あることに感謝し、暗い世相を必ずや天地のエネルギーを頼りに乗り切れるものと信じて頑張ろうと思う次第である。
